ツキの冨貴寄~月のお話し
2024/09/10
いまも著者不明の「かぐや姫」は日本最古の物語小説。
「かぐ」は「かがやく」をあらわす光のこと。餅付きうさぎの望月よりやってきた、竹取の小さなお姫様。
大切に育てた竹取の翁の家には黄金を、類を見ない輝くばかりに美しく成長した姫に、求婚してきた五人の貴族には難題を、
虜にした帝には不死の薬を与えるなど、なかなかな月の姫様。
ですが、羽衣を身にまとう「かぐや姫」は天界の人。本来は月の住人ですから地上では生きられないと、天人たちがかぐや姫を
月の都に連れ戻しにきます。
月に帰った姫を思い涙する帝は「姫がおらぬ今、不死は意味をなさぬ」と天に一番近い山でその薬を焼いてしまいました。
富士(不死)山の由来の一つです。
仲秋の名月にツキを呼ぶ月うさぎをご案内して月のお話しをいたします。
十五夜と十三夜
新月から満月までの月の満ち欠けの周期は15日周期で、旧暦では新月が1日、15日が満月となります。
十五夜は、一年のなかで月が一番きれいに見える日のこと。
毎年、日にちが変わります。
2024年の十五夜は、9月17日です。
十五夜の由来は中国の中秋節が発祥とされています。中国で行われる仲秋節は月を眺めながら、
お茶や餅を食べるという行事が、平安時代に日本に伝わりました。
平安貴族にとっての十五夜は、貴族の間でお酒の杯に映した満月を眺めたり、月の和歌を詠んだり、
月を見ながら宴会を楽しむ、優雅で風流な行事でした。
平安時代を代表する作品である『源氏物語』と『枕草子』にも、月の宴の記述が見られます。
江戸時代になると、平安貴族だけで行われていた十五夜の行事は庶民にも広まります。
庶民にとっての十五夜は作物の収穫を月に感謝したり、豊作を祈ったりする日となりました。
必ずしも当日が満月とは限らないため、旧暦の8月15日の夜には芋類の収穫を祝うという意味も
あったそうです。
十五夜が中国伝来の風習であるのに対し、十三夜は日本で始まった風習。十五夜では月の神様に豊作を願います。
十三夜は、稲作の収穫を終える地域も多いことから、秋の収穫に感謝しながら、美しい月を愛でるのです。
この時代は、月の満ち欠けなどを用いて暦を計算する旧暦を用いていたため、人々の生活と月は密接につながっていました。
旧暦は、毎月新月から数え始めます。新月から数えて、14日目~17日目が満月です。
十五夜は新月から数えて15日目なので満月、もしくは満月に近い月。
十三夜は新月から数えて13日目なので、満月には少し欠ける月ですが、十三夜は、十五夜の次に美しいとされています。
十五夜と同じように毎年日にちが変わります。2024年の十三夜は10月15日です。
十五夜も十三夜も、お月見を楽しむことを大切にしており、どちらか一方しか見ないことを「片見月(かたみつき)」
・「片月見(かたつきみ」と呼びます。片月見は、縁起の悪いこととされ、災いが来るといって忌まれていました。
十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。
月は夜空に輝く天体の中で、ちょっと特別な存在です。その姿はたえず変化しているのに、動きには一定のルールがあります。
満ちては欠け、欠けてはまた満ちる月に、昔の人々はいろいろな名前をつけました。
日本の月の形ごとの呼び名は、新月から満月までを、朔(さく)~三日月・眉月(みかづき・まゆづき)~上弦(じょうげん)~十三夜(じゅうさんや)~小望月(こもちづき)~十五夜(じゅうごや)といいます。
お月見というと旧暦8月15日の満月(十五夜)を愛でるものですが、その昔は約1カ月後の旧暦9月13日の十三夜(満月の2日前)の月も美しいと、重んじられました。
満月から新月までの月の名称は、十六夜(いざよい)~立待月(たちまちづき)~居待月(いまちづき)~寝待月(ねまちづき)~更待月(ふけまちづき)~下弦(かげん)~有明月(ありあけづき)~三十日月(みそかづき)。
満月から下弦の月までの位相に、多くの名前があるのが特徴です。満月という完璧な状態ではなく、“完全に満ちる少し前の月”や“最高潮に達した後の欠けていく月”に、日本人特有の美意識があるのかもしれません。
満月の次の日に、ゆっくりと姿を現す月は十六夜(いざよい)。まるでためらう(いざよう)ように昇ってくる様を名づけたものです。
昔から「満月よりも少し欠けた十六夜こそ風流」との意見も多く聞かれます。
十五夜以後、月の出はしだいに遅くなり、十六夜(いざよい)の月は山の端にいざよい、十七夜は立ち待つほどに出、十八夜(居待月(いまちづき))は座し居て待ち、十九夜(臥待月(ふしまちづき))は臥して待ち、二十日(更待月(ふけまちづき))には夜半近くと遅くなる。
十六夜以降の「立待・居待・寝待・更待」は、月待ち四兄弟!?
今か今かと立ちながら待ってみたり、立つことに疲れて座って待ったり、月の出が遅すぎると、寝ながら待つ。終いには夜更けても、月の出を待つ……と、昔の人は、それほどまでに月に魅了されていたのでしょう。お月見といえば、満月ですが、その昔、“月待ち”という、ある特定の月齢の月が昇るのを、多くの人々が集まって待つ風習もあったようです。江戸時代には二十三夜(下弦=満月後の半月)が出るのをみんなで食事をしながら待ち、月の出とともに願をかける“月待信仰”がありました。
月に「願い」をかけるのは、古今東西、時代を経ても同じようです。
「月の中でうさぎが餅つきをしている」という話しを知っている方は多いでしょう。
月の中でうさぎが餅つきをしている理由として、「食べ物に困らないように」、「神様のために食べ物を用意するため」という話しがよく聞かれます。
現代では、月見団子やススキをお供えしてお団子を食べて、一年の中で一番美しいとされる月を眺めて楽しむのが一般的なお月見となっています。
夜空を見上げ風流な気分に浸るのも良いのかも知れませんね。